春先に沢山の花を咲かせ、私達を楽しませてくれた庭の利休梅・・・
二階に届くほどの立派な木で、花の盛りには
道行く人が時折見とれるほどだった。
それが昨日父にばっさり切られてしまった。
それほど切らなくても・・・言ってはみたけれど
言い出したらきかない父だ。
残った幹は腰の長けほどしかなくなっていた。
その根元からは幾本も新しい枝が伸びてはいるけれど・・・
その姿を見ると悲しくなってしまった。
花が終わると、この利休梅に沢山のアリマキがついてしまったらしい。
そこへそれを食べるてんとう虫の幼虫まで沢山ついた。
他にもなにやら芋虫の類いがこの木にたかっていた。
木の下に停めた車にアリマキの屍骸が沢山落ちていて、
その分泌物かなにかでだろうか、
ボンネットがベタベタになっていてやっと気付いた。
そしてこの木をスズメバチが狩り場にし始めた。
大きいのが常に数匹飛び交うようになった。
昆虫に興味を持ち始めた4歳になる孫が
スズメバチに刺されでもしたら一大事と、狩り場になっていた利休梅と
周囲の他の木まで無くしてしまうことになったのだった。
全部切り払うという父に、
地面ばかりが見えても気持ちが良いことはないので・・・と、
若干残してもらうことにした。
理由がもうひとつ。
普段、ここの庭の草木の手入れをする人がいないのだ。
今はたまたま私達が借りているから枝をはらったり、
草むしりをしたりしているけれど、借りる以前は
何年も空家で、また数カ月後には空家に戻る。
持ち主は手入れをしに来ることはまずないらしい。
庭はおろか家も放ったらかしにされてしまうのだった。
庭もすぐにまたジャングル化してしまうだろうから、
勝手にやってもらっていいと言われている今のうちに
なるべくすっきりさせておきたい父なのだった。
毎年、花を楽しみにしていた母は残念で仕方のない様子だった。
「そこまでしなくても・・・。」・・・大好きな花なのだ。
母も可哀想になった。
まだ幾らか木は残っているが、スズメバチは来なくなった。
でも、スズメバチが来なくなるとアシナガバチが来る様になった。
自然相手のことは、そう単純に解決出来ることじゃないようで、
状況はたいして変わっちゃいないようで、
そうなると、切られてしまった利休梅が余計可哀想に思えた。